【関西から世界へ!】#04 SIRC社「Plus ONE for the Future」

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◆事業概要

株式会社SIRCは、社名と同じ「SIRC(サーク)デバイス」という演算デバイスを活用した製品とそのソリューションの開発および販売を行っている会社だ。SIRCデバイスとは、5mm角チップのセンサデバイスのことで、電流・電力・角度をセンシングしリアルタイムにアウトプットしたり、周波数を抽出したりする機能を持っている。 既存の電流センサや磁気センサをSIRCデバイスに置き換えれば、必要な情報を簡単にデジタル化することが可能だ。


SIRCデバイスはエネルギー分野への適用範囲が広く、住宅のエアコンや照明、電気自動車といった需要サイドから、送電線や大規模発電、配電線といった供給サイドまで、あらゆるシーンで活用できる。株式会社SIRCでは、SIRCデバイスを幅広い産業に提供することで、企業が抱えるさまざまな課題・問題を解決するとともに、環境問題への取り組みにも力を注いでいる。


◆ビジネスモデルの特徴と企業の強み

SIRCデバイスは、小型ながら多機能性・高機能性を有していることから、従来のセンサを配置できなかったところにも設置可能となったところに大きな特徴がある。この特徴を生かし、これまで角度センサモジュールや電流センサモジュール、電力センサモジュール、大電流計測モジュールなどと、その特徴を生かすため低消費電力のBluetooth無線を採用したユニットの開発・製造を行ってきた。


中でも主力となっているのがIoT角度センサユニットとIoT電力センサユニットで、開発したユニットとそのセンサデータをBluetoothで受信するシステムを販売することと、ほかの企業と連携しながらそれらのソリューションを開発するのが主なビジネスモデルとなっている。IoT角度センサユニットを導入すれば、これまで機械式アナログメータで計測していたものをデジタル化することが可能だが、完全にデジタルに移行するのではなく、既存の設備を活かしながらデジタル化を進めるハイブリッド方式を採用しているのが強みだ。これまでアナログ基準で作られていた装置を、丸ごとデジタル式に取り替えてしまうと、不具合や故障の原因となる可能性がある。また、地震などの災害によってライフラインが遮断されてしまった場合、復旧の術がなくなってしまうというリスクもある。ハイブリッド方式のIoT角度センサユニットは、デジタル化にともなうリスクを軽減し、安全な運用を可能にしてくれる。


◆強み・アピールポイント

SIRCデバイスを搭載したセンサの強みは、従来品に比べると圧倒的に小型・軽量・低消費なところであり、比類のない特徴のひとつだ。とくに超小型デバイスである点は大きな魅力で、これまでセンジングが不可能だった場所にも配置できることから、活用シーンが飛躍的に広がっている。


2022年末に量産を開始したIoT電力センサユニットは、製造業の脱炭素化を進める際に、製造ラインや個別装置毎の電力を測ることができる。このセンサユニットは、電気的に非接触で電線に後付けするだけで力率込みの有効電力を取出すことが可能だ。従来品は取付の際に電気工事が必要だが、IoT電力センサユニットは工事不要で簡単に取り付けることができる。どんなによいものでも、導入に手間がかかるものは敬遠されがちだが、IoT電力センサユニットなら15秒で取付け可能、クラウドサーバを使ったシステムでは1分後には電力量の可視化が可能で、現場の負担を最小限に抑えて導入することが可能となっている。


【IoT角度センサユニット;機械式圧力メータに後付けでデジタル化】



◆事業にかける想い

株式会社SIRCは、人と経済の成長、そして地球環境の保護というすべてがWin-win-winになる社会構築を目指している。これら3つの要素を並行して実現するのは簡単なことではない。しかし、SIRCデバイスを搭載したセンサの活用で、既存のものをできるだけ長く活用しつつ、現場に必要なデジタル化を容易に実現するという、一見すると相反する要素の両立が可能になる。加えて、SIRCデバイスを搭載した電力センサユニットを電力需要のきめ細かな予測や制御に応用すれば、カーボンゼロ目標達成に向けた具体的な施策の手助けにもなる。自分たちの生きる地球に配慮しながら、人も経済も成長できる社会を創り上げたい。そんな想いが株式会社SIRCの経営理念となっている。


◆今後の事業展開

株式会社SIRCは、現時点でもほかの企業との協業連携を行っているが、今後はその連携をさらに強化することを視野に入れている。すでに協業体勢にある企業との連携を深めるのはもちろん、新たな企業との連携も推進し、SIRCデバイスの可能性の拡大を目指している。既存のセンサやユニットのみでも連携は可能だが、新たな製品の開発にも着手し、グローバルに新規連携先を確保したいと考えている。


SIRCデバイスは非常に画期的なセンサ素子だが、その特殊性ゆえに、その道のスペシャリストは決して多くなく、まったく新しい技術だけに世間での認知度もまだまだ低い。 既存の代替手段に対して、いかに新しい価値を付加し、シェアを伸ばしていくかが今後の課題だ。現在世界が抱える課題・問題の有効な解決手段となり得るSIRCデバイスへのニーズは、今後ますます高まっていくことが予想される。そのグローバルなニーズにもしっかり応えられるよう、人材面や認知度の課題を解決し、理想とするWin-win-winの社会構築の実現を目指す。


【IoT電力センサユニット;非接触で有効電力を見える化】



【出典】

https://next-innovation.go.jp/j-startup-kansai/startup/


【企業HP】

株式会社SIRC | 乗算機能デバイス(SIRCデバイス)を活用し、新しい機能を提供する会社