【関西から世界へ!】#05 トータルブレインケア社「脳体力を主軸としたウェルビーイングの実現」

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◆起業に至る経緯

代表取締役の河越眞介氏は、団塊の世代が2025年に75歳を迎える前に、認知症に関する問題に特化して対処することを考え、日本認知症学会に所属し、認知症研究の専門家と密に協議を行い、以下に示すキーポイントと解決策を明確化しました。


①認知症は急激に発症する病気ではなく、認知機能が徐々に低下して日常生活に影響を与えるものなので、健康な状態から認知機能に注意を払い、予防策を施すことが重要。

➁認知症になると、治療薬の効果は限られ、長期にわたる介護が必要。しかし、一律の介護では、認知機能が部分的に残っている人も過度なケアを受け、寝たきりになるリスクが高まる。

③これらの問題を解決するためには、健康な段階で、病院以外の日常生活の中で脳のトレーニンしながら認知機能を自己評価できる手段が必要。

④加えて、介護の現場では、外見からは判断できない認知機能の低下を可視化し、トレーニングもできるツールが求められる。


これらの課題を解決する為、高次脳機能障害のリハビリ医療機関の約4割で採用され、Googleの世界幼児教育向けアプリ優秀賞を獲得した脳科学者によって監修された「脳体力トレーナーCogEvo」というクラウドシステムを中核としたビジネスモデルを構築、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)事業で、2015 年度の「Healthcare Brain チャレンジ」に応募し、入選を果たした。超高齢化社会の日本の課題解決はやがて世界の課題解決となり、働く方の認知機能も維持向上できれば、更なる大きな需要が見込めると考え、更に同事業は河越氏が人生のテーマとして掲げる「社会課題の解決」と合致したことで企業を立ち上げるに至った。


◆ビジネスモデルとその特徴

兵庫県の新産業創出支援事業等の官の事業認定・補助金や助成金を活用し、自分で認知機能のトレーニングをしながら、認知機能の特性と経時変化を知ることができる「CogEvo」の開発を開始。わずか約5分の間に楽しみながら認知機能のトレーニングとチェックができ、見当識・注意力・記憶力・計画力・空間認識力の5つの領域で自分自身を評価できます。このように、CogEvoは他に類を見ないユニークなクラウドシステムとして2017 年 3月には、販売を開始した。

ビジネスモデルとしては、サブスクリプションであり毎月の利用料金が支払われる。また、プロと呼ばれる施設版並びにパーソナルと呼ばれる個人版の 2種類を擁している。海外展開を見据えて、タスクの英語バージョンも完成している。さらに、2021年4月には、企業向けの「CogEvoBiz」のプロトタイプも完成している。


◆強み・アピールポイント

各分野の第一人者の先生方との共同研究により作成した論文に基づくエビデンスベースを重視し、研究・開発・テストマーケティングを繰り返し、論文は海外の医学誌も含めて25本となり、高いエビデンスレベルを構築している。国立長寿医療研究センターが行っている認知症を抑制できるかを検証する国家プロジェクトAMED「J-MINT」研究において、ナショナルスタンダードの認知機能検査 13 項目の一つとして「CogEvo」が採用。働き盛りの健常者を対象としたリサーチコンプレックス健康いきいき羅針盤(理化学研究所)でも軽微な認知機能の変化を測定できる物として採用され、認知機能のトレーニングでの実績に加え、チェックツールとして活用が拡がっている。さらに、経済産業省の認知症イノベーションWGの公開資料にも掲載され、企業のサプリメントや運動、音楽、ソロバン、咬む回数などの多様な臨床研究の評価ツールとしても利用されている。これら、学を起点とした官の認定により、産への展開を着実に行っている所が当社の強みと考えている。


◆今後の事業展開、5年後・10年後の目標とする到達点やロールモデル、拡充したい販路(ターゲット層)等

今後の事業展開に関して、3年後の売上高は 10億円規模を目標とする。上場も視野に入れながら、売上・利益を確保し、学・官の支援を活かし国のモデルとして活躍していきたい。CogEvoを主軸として、社名のトータルブレインケアを実現すべく、認知機能を構成する様々な周辺機器も既に取扱いを始め、今後このモデルでの売上増も目指す。更に、APIシステムの構築も進めており、様々なパーソナルヘルスレコードとの連携を行い、取得したデータのAI化により、利用者個人個人毎のCogEvoの結果からアドバイスするシステム構築も目指している。


当社は開発・研究・テストマーケティングに特化し、販売に関してはそれぞれの業界の知見を持った企業との業務資本提携を進めている。例えば、自治体においては、今まではCogEvoの利用料のみの売上だけであったが、日本旅行との業務提携で、健康測定会や予防教室で、電話受付から会場、インストラクターの手配、会場運営までの委託事業を共同受注する等、自治体のニーズに合わせた受注が可能になっている。5年先には超高齢化社会の日本で認知症の課題解決に寄与した成功モデルをもって、海外展開を予定している。


◆提供サービスにおけるPR事項

創業以来、国や自治体の様々な事業認定・補助事業の採択を受けて、事業を進めてきている。高齢者認知症分野に加え、健康経営分野においては、経産省の地域デジタル推進事業の補助⾦事業で実証実験を行い、社会実装も進めている。東京⼤学デジタルメンタルヘルス講座との共同研究契約を締結。企業で働く現役世代の脳体力向上でメタ認知を⾼め、パフォーマンスアップにつなげ、ビジネス健康寿命延伸、労働⽣産性向上で企業の収益にも寄与するシステム開発もを進めている。


「脳体力」という当社が商標登録した言葉は、自治体での利用が拡大しており、認知症に対するマイナスイメージを払拭し、住民参加のハードルを下げるなどの評価を得ています。そこで、脳体力トレーナーCogEvoを使った認知機能改善が期待される商品の研究や認定、資格制度、セミナー等を行う⼀般社団法⼈脳体⼒振興協会を来年早々に設立予定である。今まで培ったアカデミア、官公庁、産業の皆様が参加予定で、事業としての成⻑のみでなく、より公共性の⾼い事業を展開することで社会的インパクトの向上を⽬指している。脳体力を主軸として、あらゆる年代の健常・未病・病気全てのステージでの脳に関するウェルビーングの実現して参ります。


【出典】

https://next-innovation.go.jp/j-startup-kansai/startup/


【企業HP】

株式会社トータルブレインケア (tbcare.jp)